2009年10月21日水曜日

総長賞受賞

東京大学海洋調査探検部 硫黄鳥島遠征隊(隊長 井上志保里)および同部の40年にわたる海洋調査探検活動に対して,2009年前期の総長賞が授与されました.



総長賞は,本学の学生を対象として,学業や課外活動で優れた成績,評価を受けた個人または団体に,総長が表彰するもので,2002年に設けられました.前期は課外活動に,後期は学業優秀者に授与され,
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu01/h12_j.html
今回は,3人の個人と2件の団体が受賞しました.
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu01/PDF/dai1kai.pdf

硫黄鳥島遠征については,本日記の8月15日に投稿されています.
活火山の無人島,硫黄鳥島に遠征し,現地に野営してダイビングによる調査を行って,同島の魚種のデータベースを作成(188種を同定)するとともに,温泉の影響で酸性・高温の海域で,造礁サンゴから,石灰化しないソフトコーラルに群集シフトしていることを発見しました.地球温暖化によって酸性化したサンゴ礁の行く末を占う事例を,フィールドで観察できたことは,学術的にきわめて重要な発見です.

海洋調査探検部は,1969年創立以来,日本・海外各地で合宿と遠征を行い,キャンプしてダイビング技術の研鑽と調査探検活動を続け,5年ごとにシンポジウムを行い社会へも成果を発信し続けてきました.上級生の指導で部内で潜水資格をとらせる高いスキルと,徹底した安全対策で,これまでに重大な事故は一度も起こしていません.

今回の受賞は,遠征の成果と探検部の活動があわせて評価されたものです.

10月20日に行われた授賞式には,受賞した8名の遠征隊員,現役部員はもちろん,OBも多数駆けつけ,受賞の喜びを分かち合いました.
私も,OB,顧問として,また今回の授賞の推薦者として,心から嬉しく思います.
また,今後も安全の基盤のもとで,未知の海へのチャレンジを,続けていきたいと思います.

祝賀会の様子と,探検部祝賀会で記念品をかじる隊長の写真を追加しました.






茅根 創

2009年10月12日月曜日

ツバル調査

9月20日〜10月7日,JICA-JST地球規模課題科学技術協力「海面上昇に対するツバル国の生態工学的維持」でツバルに行っていました.
今回は,平行して行われる開発調査チームと合同での調査でした.

フォンガファレ中心部は,第二次大戦中の無理な沖出しの埋立が崩壊,最近になって安直なブロック護岸が行われ,これも崩壊して無惨な姿をさらしています.



しかし,ごくわずかに砂浜があり,フォンガファレ島は基本的には砂が集まる場所であることがわかります.



砂浜の再生には,かなりの量の砂の導入が必須です.
自然の州島では,大洋側礁原で大量に生産される有孔虫砂は,島と島の間のチャネルを通っていったんラグーン側に運ばれ,その後沿岸流でラグーン側海岸を運ばれ,島を創ります.

しかし外洋側からの砂の移動は,コーズウェイ(埋め立て道路)で途切れています.
コーズウェイの影響を評価するために,周囲の測量を行いました.



しかしその日は雨と風が強く,その日は部屋に戻ってツバルではじめてエアコンを「暖房」にいれたほどです.


有孔虫の生態調査は,測線調査のほか,
これからツバルにいれる有孔虫の増殖水槽の打合せと,移植マットの設置を,カウンターパートと一緒にやりました.




調査期間中の10月1日,ツバルの31周年の独立記念日があり,式典に招待され,大統領の真後ろで出席しました.
写真は20人ほどの警官隊のパレードの様子です.



記念スピーチの中で,我々の2つのプロジェクトの紹介もありました.


5年後にツバルに砂浜を再生させ,それをツバルの人たちが自立的に維持していくことが,
本プロジェクトの目的です.

茅根